はじめに
「うちの繁忙期がいつからか、体感では分かっているが数字で見たことはない」。駆けつけサービスの経営者や集客担当の方なら、思い当たるのではないでしょうか。あわせて毎年悩ましいのが、閑散期の広告費です。電話が減る時期にどこまで出すか、判断の拠りどころになる数字は意外と手元にないものです。
そこで今回は、Google広告キーワードプランナーの月別検索ボリューム3年分を集計しました。対象は水道修理・害虫駆除・鍵開けなど、駆けつけサービス23ジャンルです。
駆けつけサービスは、水道修理とハチ駆除のように複数ジャンルを掛け持ちしている会社も少なくありません。夏型・冬型のジャンルを1枚のカレンダーで見比べられるので、年間の需要をどう組み合わせて平らに近づけるか、そのヒントとしてもお使いいただけるはずです。まずは全ジャンルの繁忙期カレンダーから、順番に見ていきましょう。使ったデータの詳細は、記事末尾にまとめています。
繁忙期カレンダー — エアコン7月3.6倍からほぼ横一線まで、23ジャンルをひと目で
横軸が1月〜12月、縦軸が23ジャンルです。色が濃い月ほど、その年の平均に対して検索が多い月を表します。1.0がその年の平均で、たとえば2.0なら「平均の2倍検索されている月」という読み方です。
全体を眺めると、まず「夏型」と「冬型」がはっきり分かれることが見えてきます。夏型の代表はエアコン修理(7月3.6倍)・ハチ駆除(8月2.9倍)・コウモリ駆除・ゴキブリ駆除・草刈りです。一方でトイレつまり・給湯器・バッテリー上がり・ネズミ駆除は、冬に山ができます。
面白いのは、山の高さがジャンルによってまるで違うことです。エアコン修理の7月3.6は23ジャンルで最も急な山ですが、鍵開けや水道修理はほぼ横一線です。同じ「駆けつけ」でも、季節の波に乗る商売と、年中コンスタントな商売に分かれるわけですね。ここからはグループごとに、各ジャンルのカーブを見ていきます。
水まわり — トイレつまりは1月1.58倍、水道修理はほぼ一定
水まわり5ジャンルに共通するのは、冬に高く夏に沈むカーブです。ただしその振れ幅はジャンルごとに差があります。つまり系は冬の山がはっきり出る一方、水道修理や水漏れはかなり平坦です。
トイレつまり——1月1.58倍、9月の2倍以上
1月が1.58倍、12月が1.4倍と、真冬に大きな山ができます。対して8〜9月は0.7前後で、1月は9月の2倍以上です。年末年始の来客や在宅時間の増加が背景にあるとみられます。 → 詳しい検索キーワード分析はトイレつまりの記事へ
排水つまり——尖ったピークなし、1〜5月に1.16〜1.2の高原
1〜5月が1.16〜1.2とやや高く、7〜11月は0.8台に落ち着きます。トイレつまりほど尖った単月ピークはなく、前半に緩やかな高原が続くカーブです。
水道修理——最高でも1月1.17、年間を通してほぼ一定
1月1.17と12月1.16がわずかに高いものの、年間を通してほぼ一定です。水のトラブル全般を指す言葉だけに、季節をまたいで需要が平準化されていると考えられます。 → 詳しい検索キーワード分析は水道修理の記事へ
水漏れ——1月1.25倍以外は0.9〜1.1に収まる通年型
最も高いのは1月の1.25倍ですが、それ以外はおおむね0.9〜1.1の範囲に収まります。凍結による配管トラブルが冬の押し上げ要因とみられますが、基本は通年型です。 → 詳しい検索キーワード分析は水漏れの記事へ
給湯器——1月1.44倍がピーク、4〜8月は0.78〜0.79で横一線
1月の1.44倍がピークで、11〜3月の寒い時期がまとまって高くなります。面白いのは4〜8月で、0.78〜0.79とほぼ横一線に沈むことです。お湯が出ない故障は冬に発覚しやすく、寒さそのものが引き金になっていると考えられます。
害虫駆除 — ハチは8月と2月で約29倍差、シロアリだけ5月に山
害虫駆除3ジャンルはいずれも典型的な夏型です。ただし山の位置は微妙にずれており、シロアリだけが一足早く動きます。振れ幅の大きさは23ジャンルの中でもトップクラスです。
ハチ駆除——8月2.94倍、2月とは約29倍の開き
8月2.94倍・7月2.65倍と、真夏に巨大な山ができます。一方で2月は0.1。8月と2月では約29倍の開きがあり、冬は検索がほぼ消滅すると言っていい水準です。巣が最大化する時期と人の遭遇が重なることが背景にあるとみられます。 → 詳しい検索キーワード分析はハチ駆除の記事へ
ゴキブリ駆除——7月2.34倍、冬は0.24〜0.3まで落ち込む
7月の2.34倍を頂点に、6〜9月が1.75〜2.34の高い水準で続きます。冬場は0.24〜0.3まで落ち込み、こちらも夏冬の差が大きいジャンルです。 → 詳しい検索キーワード分析はゴキブリ駆除の記事へ
シロアリ駆除——5月2.27倍、ハチやゴキブリより1〜2ヶ月早い山
ピークは5月の2.27倍。ハチやゴキブリより1〜2ヶ月早く山が来るのが特徴です。羽アリが飛び立つ群飛の時期と重なることが背景にあると考えられます。同じ「虫」でも、繁忙期の位置はこれだけずれるわけですね。 → 詳しい検索キーワード分析はシロアリ駆除の記事へ
害獣駆除 — ネズミは11月1.3倍、コウモリは8月2.49倍、鳩は5月1.85倍と山がばらける
害獣駆除は「動物の生態がそのままカーブに出る」グループです。ネズミは冬、コウモリは夏、鳩は春と、山の位置が見事にばらけます。総合系の「害獣駆除」だけが、なだらかな通年カーブです。
ネズミ駆除——11月1.3倍、寒くなるほど増える数少ない冬型
11月1.3倍・12月と1月が1.29倍と、寒くなるほど検索が増えます。気温が下がるとネズミが屋内に入り込むためと考えられます。夏型が沈む時期に山が来る、数少ないジャンルです。 → 詳しい検索キーワード分析はネズミ駆除の記事へ
コウモリ駆除——8月2.49倍、冬は0.17〜0.27まで沈む
8月2.49倍を頂点に、7〜9月が2.31〜2.49の高原になります。冬は0.17〜0.27まで沈む、ハチと似た形の夏型です。活動期に糞や羽音で存在に気づく人が増えるためとみられます。 → 詳しい検索キーワード分析はコウモリ駆除の記事へ
害獣駆除(総合)——最高でも5月1.44倍のなだらかな通年型
「害獣駆除」という総合的な言葉のカーブは、5月の1.44倍が最も高い程度でなだらかです。動物ごとの山が互いに打ち消し合い、平準化された形になっていると考えられます。
鳩駆除——5月1.85倍、繁殖期の春に山が来る
5月1.85倍を頂点に、4〜6月の春に山が来ます。繁殖期にベランダへの営巣が増えることが背景にあるとみられます。同じ「空の害獣」でも、コウモリ(6〜9月)とは時期が明確にずれるのが面白いところです。
住まいの設備・外まわり — ほぼ平らな鍵開けと、7月3.6倍のエアコン修理が同居
このグループは二極化しています。鍵開け・シャッター・電気工事はほぼ平らな通年型。一方で草刈りとエアコン修理は、23ジャンル屈指の急な夏山を持ちます。
鍵開け——月あたり約8.1万回で23ジャンル最大、季節はほぼ一定
月別指数は0.87〜1.15の範囲で、年間ほぼ一定です。鍵の紛失や閉じ込めは季節を選ばない突発事故だから、と考えると納得のカーブですね。代表語の合計は月あたり約8.1万回で、今回の23ジャンルで最大の検索規模です。 → 詳しい検索キーワード分析は鍵開けの記事へ
シャッター修理——0.94〜1.14の狭い範囲、目立った山なし
0.94〜1.14の狭い範囲に収まり、目立った山はありません。故障ベースの需要が年間を通して発生していると考えられます。 → 詳しい検索キーワード分析はシャッター修理の記事へ
電気工事——1月1.25倍がやや高い程度の緩やかな下り坂
1月の1.25倍がやや高いものの、全体としては緩やかな下り坂を描く程度です。季節の波に大きく左右されないジャンルと言えます。 → 詳しい検索キーワード分析は電気工事の記事へ
草刈り——7月1.95倍、冬は0.31〜0.37まで沈む
7月1.95倍を頂点に、6〜9月が1.59〜1.95の高い山になります。冬は0.31〜0.37まで沈みます。雑草の生育がそのまま検索カーブに反映されているとみられます。 → 詳しい検索キーワード分析は草刈りの記事へ
エアコン修理——7月3.6倍は23ジャンルで最も急な山、3月とは約14倍差
7月は3.6倍——これは23ジャンルの中で最も急な山です。3月の0.26と比べると約14倍の開きがあります。猛暑日の稼働で故障が表面化し、しかも待てない緊急事態になることが背景にあると考えられます。10月には0.28へ一気に沈む、極端なジャンルです。
車のトラブル — バッテリー上がりの1月1.56倍だけが突出
車系3ジャンルのうち、はっきりした季節性を持つのはバッテリー上がりだけです。レッカーとパンクは、年間を通じて比較的フラットに推移します。
バッテリー上がり——1月1.56倍、真冬に突出する冬型の代表格
1月が1.56倍と突出します。寒さでバッテリーの性能が落ちることが背景にあるとみられます。トイレつまりや給湯器と同じく、「真冬の1月」に山が来る冬型の代表格です。 → 詳しい検索キーワード分析はバッテリー上がりの記事へ
レッカー——8月1.29倍がやや高い程度でおおむね平坦
8月の1.29倍がやや高い程度で、全体はおおむね平坦です。帰省シーズンの長距離運転が背景にあるのかもしれませんが、断定できるほどの差ではありません。
パンク車——0.74〜1.11で推移、明確な繁忙期なし
0.74〜1.11の範囲で推移し、明確な繁忙期は見当たりません。パンクは季節より路面状況や偶然に左右される事故だから、と考えられます。
片付け・整理 — 山は引っ越しの3月1.22倍どまり、季節より暮らしの節目で動く
このグループは3ジャンルとも季節性が弱めです。気温ではなく、引っ越しや家族の事情といった「暮らしの節目」が需要の起点になっていると考えられます。
不用品回収——引っ越しシーズンの3月が1.22倍で年間最高
3月の1.22倍が年間で最も高い月です。引っ越しシーズンに片付け需要が集中することが背景にあるとみられます。それ以外の月は0.91〜1.08と、大きな波はありません。 → 詳しい検索キーワード分析は不用品回収の記事へ
ゴミ屋敷——0.87〜1.13、カレンダーと連動しない通年型
0.87〜1.13の範囲で、目立った季節性はありません。個人の事情に起因する需要のため、カレンダーとの連動が薄いと考えられます。
遺品整理——10月1.21倍がやや高い程度、規模は月あたり約3.0万回
10月の1.21倍がやや高いものの、全体はほぼ平坦です。代表語の合計は月あたり約3.0万回と、片付け系の中でも大きな検索規模を持ちます。 → 詳しい検索キーワード分析は遺品整理の記事へ
まとめ — 夏型の頂点はエアコン7月3.6倍、冬型はトイレつまり1月1.58倍
23ジャンル×3年分の検索データから見えてきたことを、3点にまとめます。
- 駆けつけサービスには夏型・冬型・通年型がある。夏型の頂点はエアコン修理の7月3.6倍で、ハチ駆除(8月2.94)・コウモリ・ゴキブリ・草刈りが続く。冬型はトイレつまり(1月1.58)・バッテリー上がり(1月1.56)・給湯器・ネズミ駆除
- 振れ幅はジャンルごとにまるで違う。ハチ駆除は8月と2月で約29倍の開きがある一方、鍵開け・水道修理・シャッター修理などはほぼ横一線の通年型
- 山の位置はジャンルごとに少しずつずれる。シロアリは5月、鳩は4〜6月、夏型の主役は7〜8月、トイレつまりやバッテリー上がりは真冬。夏型と冬型を並べると、1年の中で山が交互に来る構図が見えてくる
各ジャンルの検索キーワードの中身——どんな言葉で、どんな緊急度で検索されているか——は、本文中でご案内した個別記事で詳しく分析しています。ご自身のジャンルの記事から読んでいただくのがおすすめです。
ラスタライズでは、駆けつけサービス業者さまのリスティング広告運用を支援しています。「自社の繁忙期にデータを照らすとどうなるか」「今の広告費の使い方は季節と合っているか」など、気になる点があればお気軽にご相談ください。無料相談はこちらから受け付けています。
※ 今回分析したデータについて
- 検索データ: Google広告 キーワードプランナーの月別検索ボリューム(2023〜2025年の3年分)。年ごとに正規化した中央値を使い、年平均を1.0とした「月別指数」に変換しています
- 対象: 駆けつけサービス23ジャンル(水まわり・害虫駆除・害獣駆除・住まいの設備・車・片付け)
先にお断りを2点だけ。検索ボリュームと実際の需要は完全には一致しません。あくまで検索行動のデータであって、問い合わせ件数そのものではないという前提でお読みください。また、各ジャンルに添えた月間検索数は代表的な検索語だけの合計です。市場全体の規模を示す数字ではありません。
