はじめに:「任せているけど、本当にちゃんとやってくれているのか」
広告は代理店に任せている。毎月見るのは、広告費の請求と問い合わせの本数だけ。その広告が、どんな検索で出ているかは見たことがない。駆けつけサービスの経営者には、そういう方が多いのではないでしょうか。

そうなると、気になることが出てきます。関係ない検索で広告が出て、お金だけ減っていないか。うちがやらない仕事の検索で出ていないか。代理店は、ちゃんと止めてくれているのか。
この記事では、その疑問に当社の実データで答えます。使うのは、当社が広告を運用している駆けつけ関連10社以上の、約半年分の検索データです。例は、水道修理を中心に挙げます。社名は出さず、割合と倍率だけで書きます。
除外キーワードとは——「この言葉では広告を出さない」と決める仕組み
先に仕組みを1つだけ。検索広告は、登録した言葉だけで出るわけではありません。「トイレ つまり」で登録すると、GoogleやYahooは「トイレ つまり 薬」のような近い検索にも、勝手に広告を出します。
だから何もしなければ、関係ない検索にも広告は出ます。それを止めるのが除外キーワードです。「この言葉が入った検索には、うちの広告を出さない」と決めておく設定です。そして、どの検索語句で広告が出たかの一覧が検索語句レポート。代理店が除外の判断に使うのは、この一覧です。
疑問1「関係ない検索で出ていない?」——出ます。どの会社でも
結論から言うと、出ます。どの会社の広告でも出ます。問題は「出るかどうか」ではなく、「出たあとに止めているか」です。
水道の広告が「便秘に効くもの」「頻尿 治し方」で出ていた
約半年で、水道修理の広告が出た検索は約6.9万種類ありました。その中に「老人の便秘に効くもの」「頻尿 治し方」のような、体の悩みの検索が約270種類。トイレという言葉が共通するだけで、媒体は水道修理の広告を出してしまいます。
ほかにも、薬剤や部品を買いたい人の検索が約210種類。「水道局 指定工事店 一覧」のような水道局・役所の検索が約260種類。「とは」「原因」のような調べ物が約890種類。ガス機器の故障が約150種類。こうした場違いに見える検索は、求人なども含めて約1,800種類ありました。対応エリアの外の地名や、他社の社名での検索も、毎週のように出てきます。
種類は多いが、広告費はほとんど残っていない
ここが大事なところです。約1,800種類もあった場違いに見える検索に使われた広告費は、検索語句レポートに載った広告費の0.4%でした。体の悩みは約270種類あっても、クリックは10回未満で問い合わせ0件。ガス機器も約30クリックで0件です。
これは、毎日、検索語句レポートを見て除外キーワードを足している当社の口座の数字です。関係ない検索が「出る」のは防げません。でも「出続ける」のは防げます。うちの代理店は、これをやってくれているのか。それが疑問1の本当の意味です。
疑問2「同じ水道修理でも、いらない仕事で出ていない?」
疑問1の検索は、見れば分かります。難しいのは、水道修理の検索ではあるが、自社ではやらない仕事、という検索です。

「修理」と「交換」は別の仕事:交換の検索は、問い合わせ率が平均の約3分の1
水道修理の広告の平均を1.0として比べました。「修理」の検索は問い合わせ率が0.95倍と、ほぼ平均。ところが「交換・取り替え」の検索は0.34倍で、問い合わせ1件にかかる広告費も1.28倍です。修理を主力にしている会社にとっては、来てほしい仕事ではないことがあります。実際、当社のお客さまには「交換の仕事は要らない」と決めて、交換の検索をすべて止めている会社があります。
風呂釜・コンロの故障は、水道の広告では問い合わせ0件
「風呂釜 点火しない」「ガスコンロ トラブル」のようなガス機器の検索は、約30クリックで問い合わせ0件でした。機器本体の故障は、メーカーやガス会社が対応する場合も多い仕事です。ただし「風呂釜 水漏れ」は、どこから漏れているかで対応先が変わります。同じ「風呂釜」でも、自社が対応できる範囲かどうかで、止めるものと残すものが分かれます。
「水道局」の検索は、自社が指定工事店かどうかで決まる
「水道局」を含む検索は、問い合わせ率が平均の0.86倍と、数字だけなら悪くありません。ただ、この検索には「水道局 指定工事店 一覧」のように、指定工事店を探す人が混ざります。自社が指定工事店なら残す。指定を受けていない会社は、受けられない依頼(給水装置の工事など)が混ざるので、止める判断になることが多い。水道局そのものを探す検索(料金・届出など)は、指定店でも見込みは薄いでしょう。数字ではなく、自社の立場で決まる検索です。
いる仕事・いらない仕事は、会社ごとに違う
ここが、この記事でいちばん伝えたいことです。「交換」も「水道局」も、数字だけでは除外するかどうか決まりません。決めるのは経営者です。
代理店が検索語句レポートから読めるのは、問い合わせの数と広告費までです。「この仕事はうちでは受けない」は、教えてもらわないと分かりません。いらない仕事で広告が出ているとしたら、ここが原因の1つです。当社では、運用を始めるときに「受ける仕事・受けない仕事」を必ず聞くようにしています。
疑問3「ちゃんと除外してくれている?」——確かめ方

見るのは「登録キーワード」ではなく「実際に広告が出た検索語句」の一覧
代理店から「キーワード一覧」をもらっても、除外の状況は分かりません。登録した言葉と、実際に広告が出た検索語句は別だからです。「先月、うちの広告が出た検索語句の一覧を、費用の多い順に見せてほしい」と頼めば、検索語句レポートが出てきます。
数の目安も1つ。今回の水道修理の会社では、Google広告の除外キーワードが1社あたり約350〜約3,300語ありました。当社が毎日、候補を1語ずつ見て足してきた結果です。数が多ければよいわけではありませんが、目安にはなります。
代理店に聞いてみたい3つの質問
- 「先月、うちの広告が出た検索語句の一覧を、費用の多い順で見せてください」
- 「直近1か月で除外した言葉は何ですか。なぜ除外しましたか」
- 「うちがやらない仕事(交換だけ・ガス機器・指定工事店向けなど)は、除外に入っていますか」
3つ目は、代理店を責める質問ではありません。いらない仕事は、経営者が伝えないと代理店には分からないからです。
疑問4「除外は多いほど安心?」——切りすぎると、頼む人まで止まる
除外は、多ければ安心という設定ではありません。「頼む気がなさそう」に見えて、実は頼む人の検索がある。それを止めると、問い合わせが静かに減ります。当社が実際に判断した例を、水道以外のジャンルからも挙げます。
止めた言葉——頼む気がない人の検索
- ハチ駆除:「オニヤンマ」「天敵」(蜂の生態を調べている人)。「嫌がる匂い」「嫌う音」(自分で追い払いたい人)。「時期」(いつ頃出るかを調べている=今は困っていない)。「隣」(隣の家の巣の相談)
- 害獣駆除:「獣避け 匂い」や、獣よけグッズの商品名(自分で対策したい人)。それと「鳩」「カラス」——この会社は鳥はやらない、と決めているので止めています(疑問2と同じ、会社の立場で決まる例)
- 不用品回収:「粗大ゴミ 申し込み 電話」(市の受付センターの番号を探す人)。リサイクルセンターの施設名(施設を探す人)。「マットレス」だけの品目1点(まとめて回収が狙いの会社には合わない)。引越し業者の社名(別の業種)
- ロードサービス:「ジャンピング」「つなぎ方」(自分でバッテリーをつなぐ人)。バッテリーの型番(買う人)。「自転車」(対象外)
止めそうで、止めてはいけない言葉
- 「ドロバチ 巣」(ハチ駆除):「駆除」が付いていないので調べ物に見えます。ところが、泥の巣を見つけた人からの依頼がそのまま来る言葉でした
- 「軒下 蜂の巣」「屋根裏 蜂の巣」(ハチ駆除):これも「駆除」が付きません。でも、巣の場所を言っている人は依頼の入口です。屋根裏は、駆除の中でも単価の高い仕事になります
- 「安い」「格安」(不用品回収・水道修理など):除外候補の定番として挙がる言葉です。実際は、問い合わせ率が平均の約2倍。安さを気にする人ほど、すぐに頼む傾向があり、止めていません
だから、1語ずつ見る
当社では、除外の候補が出るたびに、1語ずつ確かめてから決めます。半年の実績、同じジャンルの他社の実績、GoogleとYahooの両方。「それっぽい言葉だから」でまとめて切ることはしません。除外キーワードは、増やすほど安心になる設定ではなく、1語ごとに「頼む人か、そうでないか」を分ける作業です。
まとめ:任せきりにせず、「いる仕事・いらない仕事」だけは伝えておく
- 関係ない検索で出ていない?——出ます。どの会社でも。毎日除外を足している当社の口座では、場違いに見える検索の広告費は0.4%でした
- いらない仕事で出ていない?——「交換」の検索は問い合わせ率が平均の0.34倍。「水道局」は自社が指定工事店かどうかで決まる。いる・いらないは、経営者が伝えないと代理店には分かりません
- ちゃんと除外してくれている?——見るのは登録キーワードではなく、実際に広告が出た検索語句の一覧。上の3つの質問で確かめられます
- 除外は多いほど安心?——いいえ。「ドロバチ 巣」「軒下 蜂の巣」「安い」のように、止めそうで止めてはいけない言葉があります。1語ずつ「頼む人か、そうでないか」を分けて決めます
経営者がやることは、管理画面を覚えることではありません。「うちはこの仕事を受ける、この仕事は受けない」を代理店に伝えること。そして年に1回でも、実際に広告が出た検索語句の一覧を見せてもらうこと。この2つで、除外キーワードの質は大きく変わります。
ラスタライズでは、駆けつけサービス業者さまのリスティング広告運用を支援しています。「今の代理店がちゃんとやっているか分からない」「検索語句の一覧の読み方が分からない」といったご相談は、無料相談はこちらから受け付けています。
※ 今回のデータについて
- GoogleとYahooの検索語句レポート(2026年3月末〜9月末)。当社が運用する駆けつけ関連10社以上のデータで、疑問1〜3の数字は水道修理の広告、疑問4の例は5ジャンルから。社名は出さず、割合と倍率だけで書いています。
- 「問い合わせ」は広告の成果として計測した電話・フォームで、受注かどうかは含みません。場違いに見える検索は、特定の言葉を含む検索を機械的に分けたものです。
- 数字は傾向であって、因果の断定ではありません。
