はじめに
「うちのお客さんは、結局スマホから来ているのか」。駆けつけサービスの経営者や集客担当の方なら、一度は気になったことがあるのではないでしょうか。LPをスマホ最適化に振り切ってよいのか、PC向けの見え方にどこまで手をかけるべきか。判断材料になる数字は、意外と手元にないものです。

そこで今回は、駆けつけサービス28ジャンルの検索デバイス比率を集計しました。あわせて金融・EC・旅行などの一般ジャンル7種とも比べています。さらに、同じジャンルでも「緊急の検索」と「じっくり調べる検索」でデバイスがどう変わるかも確かめました。使ったデータの詳細は、記事末尾にまとめています。
結論から言うと、駆けつけサービスの検索はおおむね8〜9割がスマホです。ただしジャンルによる幅は想像以上に大きく、同じ「駆けつけ」でもPCが3分の1を占めるジャンルがあります。順番に見ていきましょう。
駆けつけは金融・ECよりスマホ寄り——PCが多数派なのはB2B業務ソフトだけ
まず、駆けつけの代表ジャンルと一般ジャンルを同じ物差しで並べてみます。
最上位はバッテリー上がりの94.0%。全35ジャンル中の1位で、2位も同じ車系のパンク(93.6%)でした。外出先で起きるトラブルは、そもそも手元にスマホしかありません。デバイス比率は「その困りごとが起きた瞬間、ユーザーがどこにいるか」を映す鏡と言えそうです。
一般ジャンルと比べると、駆けつけの立ち位置がよく分かります。スマホ寄りと言われる金融(87.4%)やEC・通販(87.1%)よりも、トイレつまり(89.3%)や鍵開け(88.3%)の方がさらにスマホ寄りです。一方でB2B業務ソフトは唯一PCが過半数(51.9%)。仕事中にPCで探すジャンルとの違いが、数字にはっきり出ました。
旅行・宿泊のPC比率33.7%も目を引きます。日程やプランをじっくり比較するジャンルはPCが厚くなる。この「緊急はスマホ、比較検討はPC」という軸は、このあと駆けつけ28ジャンルの中でも繰り返し出てきます。
スマホ比率ランキング——1位はバッテリー上がり94%、最下位は遺品整理64%
28ジャンルを並べると、上と下で30ポイント近い差があります。
上位は車と水まわり——「いま目の前」のトラブルほどスマホ
上位はバッテリー上がり・パンクの車系に続き、排水つまり(91.3%)・ゴキブリ駆除(90.0%)・コウモリ駆除(89.7%)と続きます。水があふれる、虫が出る、という「いま目の前」のトラブルは、現場でスマホ片手に検索している姿が浮かびます。
産業廃棄物と遺品整理はPCが3分の1——法人需要と「じっくり比較」の世界
下位に目を移すと、産業廃棄物(PC 33.5%)と遺品整理(PC 33.0%)は、PCが検索の3分の1を占めます。じっくり比較の代表格である旅行・宿泊(33.7%)とほぼ同じ水準です。産業廃棄物やグリストラップ(PC 21.9%)は法人の担当者が業務時間中に探すジャンル、遺品整理は家族で相談しながらじっくり比較するジャンルと考えると、傾向が揃います。電気工事(PC 22.6%)も法人需要の色が濃いジャンルです。ただしこれは検索データから読み取れる傾向であって、ユーザー属性を直接調べたものではない点はご留意ください。
レッカーのPC比率はバッテリー上がりの3倍——中身は「調べ物」の検索だった
意外だったのはレッカーのPC比率16.9%です。同じ車系のバッテリー上がり(5.2%)・パンク(5.4%)の約3倍もあります。
そこで、レッカー関連の検索キーワードの内訳を確かめました。すると大半は「レッカー移動とは」「レッカー移動 料金」「レッカー移動 保険」「JAF レッカー」といった費用・制度・保険の調べ物で、「レッカー車 呼ぶ」「近くのレッカー業者」のような現場からの検索はごく一部でした。
さらにグループを分けて測ると、はっきり割れます。「いま呼ぶ」系の検索はスマホ92.8%と、バッテリー上がり並み。一方で「とは・料金・保険」の調べ物系はPCが16%台でした。つまりレッカーのPC比率が高いのは、緊急の呼び出しがPCから来ているのではなく、このジャンルの検索の中身が調べ物に寄っているから。同じ車のトラブルでも「その場で呼ぶ」検索と「あとで調べる」検索では、使われるデバイスが違うわけです。
同じ水道系でも排水つまり7%、蛇口修理12%——緊急度がデバイスを決める
「排水つまり」のPCは7.2%、「蛇口修理」は11.8%。今まさに水があふれている検索と、交換を検討している検索では、同じ水道系でも使われるデバイスが違います。緊急度が上がるほどスマホに寄る、という軸はジャンルの中でも一貫しています。
なお、タブレットはどのジャンルでも1〜3%程度でした。デバイス設計の主戦場は、スマホとPCの配分と考えてよさそうです。
「緊急」が付くとスマホ95%——検索の言葉でデバイスが変わる
ジャンル間の差を見てきましたが、最後は同じジャンルの「中」を割ってみます。ジャンル語に「24時間・緊急・夜中・即日」のような緊急系の言葉が付く検索と、「相場・費用・口コミ」のような検討系の言葉が付く検索で、デバイス比率がどう違うかを比べました。
いちばん差が出たのは鍵開けです。「24時間・緊急」系の検索群はスマホ95.2%、「料金相場・口コミ」系では83.6%。12ポイント近い開きがあります。締め出されて今まさに家に入れない検索と、あらかじめ料金や評判を調べておく検索では、立っている場所が違うわけです。不用品回収(即日系88.9%・相場系83.3%)とトイレつまり(89.6%・86.2%)も同じ方向でした。
一方、水道修理でははっきりした差が出ませんでした(緊急系85.7%・検討系86.9%)。また、緊急系のキーワード群は規模が小さめ(月間540〜5,250)なので、傾向として読むのが妥当です。それでも、ジャンル間で見えた「緊急はスマホ、比較検討はPC」の軸が、同じジャンルの中でも——特に鍵開けのような一刻を争うジャンルで——繰り返し現れるのは示唆的です。
まとめ——覚えておきたい3つの数字
- 駆けつけサービスの検索はおおむね8〜9割がスマホ。金融やECより高く、最上位のバッテリー上がり(94.0%)・パンク(93.6%)は35ジャンル中1・2位。「トラブルが起きた瞬間にユーザーがどこにいるか」がデバイス比率を決めている
- ただしジャンル差は大きい。産業廃棄物・遺品整理はPCが約3割で、法人取引やじっくり比較のジャンルはPCの存在感が残る。レッカーのPC比率16.9%はバッテリー上がりの約3倍だが、中身を測ると費用・制度・保険の調べ物が大半で、「いま呼ぶ」検索だけならスマホ92.8%だった
- 同じジャンルの中でも、検索の言葉が緊急になるほどスマホに寄る。鍵開けは「24時間・緊急」系でスマホ95.2%、「料金相場・口コミ」系では83.6%と12ポイント近い差がついた
自社のジャンルはどのあたりに位置するのか、この並びと照らしてみてください。
ラスタライズでは、駆けつけサービス業者さまのリスティング広告運用を支援しています。「自社のジャンルはスマホとPCにどう予算を配分しているか」「LPのスマホ最適化は実態と合っているか」など、気になる点があればお気軽にご相談ください。無料相談はこちらから受け付けています。
※ 今回分析したデータについて
- 検索データ: Google広告キーワードプランナーのデバイス別検索数(日本・直近12ヶ月平均)。各ジャンルの代表的な検索語から広がる関連キーワード群全体を、スマホ・PC・タブレットに分けて集計しています
- 対象: 駆けつけサービス28ジャンル+比較用の一般ジャンル7種(金融・EC・店舗予約・求人・旅行・不動産・B2B業務ソフト)
- 緊急系・検討系の比較: ジャンル語に緊急系(24時間・緊急・夜中・即日など)/検討系(相場・費用・口コミ)の言葉を付けた関連キーワード群を、同じ方法でデバイス別に集計しています
- 検索データは「世の中でどう検索されているか」であって、問い合わせ件数そのものではありません
