はじめに
弁護士事務所のリスティング広告運用では、多様な検索キーワードの意図と価値を理解することが課題となっています。
この記事では、「弁護士」に関する1,025件の検索キーワードデータを、検索意図による4つの分類、年間の検索トレンド、費用帯別の分析、そして除外すべきキーワードの観点から整理しました。これにより、効果的な運用に役立つ実践的な示唆が得られます。
「弁護士」のリスティング広告で押さえるべき4つの検索意図

このマインドマップは「弁護士」に関連する検索キーワードを4つの軸に分け、それぞれ2つの下位カテゴリーで構成しています。構造を俯瞰できる点が特徴です。
お金のトラブルで頭がいっぱい
ここでは借金・取り立てなどの金銭問題を解決したい検索意図が中心です。「債務 整理」と「過払い 金 弁護士」は同じお金トラブルでも深刻度や対処法が異なります。
家族・パートナーとの関係がつらい
離婚や相続など親密な間柄の問題が含まれます。具体的には「離婚 弁護士」「相続 弁護士」など、夫婦間と家族全体の悩みが交差します。
事故やトラブルに巻き込まれて困っている
交通事故や職場での衝突など、突発的な事態を想定した意図が中心です。「弁護士 交通 事故」「労働 問題 弁護士」のように場面ごとに違うニーズがあります。
弁護士への依頼自体に抵抗がある
費用や選び方など、依頼のハードルを下げたい検索意図です。「弁護士 費用」「弁護士 無料 相談」など、敷居の高さを感じる人向けのキーワードが目立ちます。
「弁護士」関連検索キーワードの年間変動パターン

「弁護士」関連の主要キーワードの合計検索数は、10月に年間最高の447,800回を記録し、その後減少して12月に年間最低の351,900回となっています。また、5月には442,000回の高い検索数を示す一方、8月には369,000回まで減少するなど、最大値と最小値の間で約27%の変動が見られます。
これらの変動要因には、業種特有の相談需要や連休前後などが影響する可能性があります。時期によって離婚や債務整理といったテーマが増減することもあり、季節的な要素や社会情勢などが絡み合って変動していると考えられます。
「弁護士」の費用帯別キーワード分析
費用帯 | キーワード例 | 月間平均検索数 | 想定クリック単価 |
---|---|---|---|
高額帯 (1,102円以上) | 弁護士 交通 事故 | 9,900 | 3,011円 |
債務 整理 おすすめ | 5,400 | 1,732円 | |
債務 整理 | 33,100 | 1,511円 | |
中額帯 (551~826円) | 離婚 弁護士 | 22,200 | 674円 |
弁護士 電話 無料 相談 | 6,600 | 666円 | |
債務 整理 と は | 27,100 | 600円 | |
低額帯 (~274円) | 離婚 弁護士 費用 | 9,900 | 201円 |
弁護士 費用 | 9,900 | 127円 | |
離婚 調停 | 14,800 | 102円 |
この表は想定クリック単価によって、1,102円以上の高額帯、551~826円の中額帯、そして~274円の低額帯に分類しています。ジャンルによる報酬額や競合状況、さらにユーザーが「すぐ依頼したいのか」「情報を集めたいのか」といった目的の違いが複合的に絡み合い、クリック単価の差が大きく現れるのが特徴です。
高額帯(CPC 1,102円以上)では、「弁護士 交通 事故」や「債務 整理」のような深刻度の高い案件が多く見られます。相談者の依頼意欲が強く、費用対効果が高い分野のため、検索キーワードの単価も上がりがちです。また、被害の規模やリスクが大きいジャンルほど競合が集まる傾向もあり、高額帯として分類されやすいといえます。
中額帯(CPC 551~826円)は、「離婚 弁護士」や「弁護士 電話 無料 相談」など、依頼意識の強弱が混在するキーワードが目立ちます。比較的幅広いジャンルが含まれるため、検索ユーザーの意図が多層的で、すぐに依頼したい人と情報を集めている人が混ざり合うのが特徴です。結果としてクリック単価も中間的な水準に落ち着きます。
低額帯(CPC ~274円)では、「離婚 弁護士 費用」や「弁護士 費用」といった料金重視のキーワードが中心です。相談するかどうかを迷いながら情報収集する段階のユーザーが多く、実費や手数料の確認が主な動機と考えられます。競合性も抑えめで、広告費用が比較的低くなりやすい層といえます。
広告配信から除外を検討したい検索キーワード
弁護士への相談意図が異なる以下の3つのカテゴリーについて、広告配信の除外を検討する必要があります。
情報収集の初期段階のキーワードとして、「債務 整理 と は」(27,100回/月)や「示談 と は」(12,100回/月)があります。これらは法的手続きの基礎知識を求める検索で、相談までの意思決定に時間を要します。
求人・転職関連の検索として、「弁護士 バイト」(210回/月)、「イン ハウス 弁護士」(260回/月)、「企業 内 弁護士」(480回/月)があります。これらは雇用・転職目的の検索であり、法律相談とは異なる意図を持ちます。
資格・学習に関する検索として、「弁護士 勉強」(260回/月)などがあります。これは法曹資格の取得を目指す層からの検索で、法律相談の意図はありません。
その他の特徴ある検索キーワードカテゴリ
時間的制約を持つ検索として、「弁護士 無料 相談 電話 土日」(260回/月)、「弁護士 電話 無料 相談」(6,600回/月)があります。これらは相談の即時性や時間的な柔軟性を求める層からの検索です。
手段を限定した検索として、「弁護士 無料 相談 line」(210回/月)、「弁護士 相談 ネット」(480回/月)があります。これらはコミュニケーション手段に特定の希望を持つ層からの検索です。
地域性を持つ検索として、「近く の 弁護士」(720回/月)、「区役所 無料 法律 相談」(170回/月)があります。これらは地域に密着した法律サービスを求める層からの検索です。
まとめ
- 「弁護士」の検索キーワードは、お金のトラブル、家族関係、事故・トラブル、依頼への抵抗感という4つの主要な検索意図に分類できます。
- 年間の検索ボリュームは、5月と10月に2つのピーク(442,000回、447,800回)があり、8月と12月に減少(369,000回、351,900回)する傾向にあります。
- 費用帯は1,102円以上の高額帯、551~826円の中額帯、274円以下の低額帯に分かれ、案件の深刻度や相談意欲の強さが単価に反映されています。
- 除外を検討すべきキーワードには、情報収集の初期段階、求人・転職関連、資格・学習に関するものがあります。
- 時間帯、手段、地域性による検索は、ユーザーの具体的なニーズを反映した特徴的なカテゴリーを形成しています。
ここまでの分析を踏まえれば、検索意図に合ったキーワード選びや入札単価の見直しをするだけでも、着実にリスティング広告の成果を高める手がかりが得られます。
少しずつ試すうちに、相談件数やお問い合わせ数が増えるなど、具体的な変化を実感できるでしょう。もし実践に不安を感じたり、さらに踏み込んだ運用を検討されたりする際は、お気軽にご相談ください。