1. はじめに
シロアリ駆除のリスティング広告運用では、キーワードの選定が大きなカギを握ります。この記事では、Google広告のキーワードプランナーから取得した723件の検索キーワードデータを多角的に分析しました。
キーワードごとの月間平均検索数や競合状況、上位掲載の入札単価などを踏まえ、検索意図による分類、季節変動の検証、費用帯別の整理、そして除外候補の洗い出しを行っています。これらの分析結果によって、広告費用対効果の最適化につながる具体的な示唆を得ることが可能です。
「シロアリ」関連検索キーワードの4つの検索意図とキーワード分類

シロアリ対策に関する検索キーワードは、大きく「不安を解消したい」「費用面で悩む」「対策方法で迷う」「再発を防ぎたい」の4つに分類されます。各軸の下には2つずつ下位カテゴリーが存在し、ユーザーの具体的なニーズを端的に示しています。
不安を解消したい
虫の種類や被害状況を把握する段階の検索が中心です。「羽蟻」「ヤマトシロアリ」のようにシロアリとの違いや種類を知りたい場合や、「シロアリ 調査」のように被害の実態を確かめたいニーズが多く見られます。
費用面で悩む
予算やコスト感に直結する検索が多い領域です。「シロアリ 駆除 一軒家 値段」「シロアリ 消毒 費用」のように具体的な相場を把握したい意図と、「シロアリ 駆除 安い」のように費用を抑えたい意欲が混在しています。
対策方法で迷う
DIYの薬剤使用か専門業者かを比較する段階が含まれます。「アース 製薬 シロアリ」のように市販薬剤を調べるユーザーや、「ダスキン シロアリ」のように業者名を直接検索する動向が特徴的です。
再発を防ぎたい
より長期的な住環境の保護を意識する検索が中心です。「防 蟻 工事」のように構造や施工面を考慮するものと、「シロアリ に 強い 家」のように素材選択や予防策を学びたいものが該当します。
約8倍の変動「シロアリ」関連キーワードの月間検索数推移

「シロアリ」関連キーワードの合計検索数は、6月にピークの352,700回に達し、12月に最小値の43,750回まで落ち込みます。1年を通じて約8倍もの変動があり、4月から5月にかけて急上昇してから、7月以降は緩やかに減少していく傾向が見られました。
この大きな季節変動は、梅雨時期のシロアリ活動や羽アリの飛来シーズンと深く関係していると考えられます。また、春先の気温上昇や住宅点検のタイミングなども検索数増加に影響を及ぼしている可能性がうかがえます。
「シロアリ」の費用帯別キーワード分析
費用帯 | キーワード例 | 月間平均検索数 | 想定クリック単価 |
---|---|---|---|
高額帯 (250円~) | シロアリ 駆除 | 27,100 | 253円 |
ダスキン シロアリ | 720 | 299円 | |
シロアリ 110 番 | 720 | 315円 | |
中額帯 (160~249円) | シロアリ 駆除 費用 | 5,400 | 160円 |
ヤマト シロアリ | 6,600 | 166円 | |
イエシロアリ | 5,400 | 176円 | |
低額帯 (~159円) | 羽蟻 | 6,600 | 146円 |
シロアリ 駆除 一軒家 値段 | 2,400 | 148円 | |
シロアリ | 74,000 | 154円 |
想定クリック単価の差は、広告需要や競争度など多方面の要因によって発生します。ここでは、250円以上を高額帯、160円~249円を中額帯、~159円を低額帯として分類し、すべて実際のCPCデータに基づいて整理しました。
高額帯 (250円~) には「シロアリ 駆除」(27,100回・253円)や「ダスキン シロアリ」(720回・299円)などが含まれ、具体的施工依頼を想定する検索が多いのが特徴です。
中額帯 (160円~249円) には「シロアリ 駆除 費用」(5,400回・160円)や「ヤマト シロアリ」(6,600回・166円)が入り、検索ボリュームは約5,400~6,600回の範囲です。費用感や虫の特定を求めるユーザーが多いと言えます。
低額帯 (~159円) には「羽蟻」(6,600回・146円)や「シロアリ」(74,000回・154円)など、一般的な情報収集を目的としたワードが目立ちます。幅広い層が検索するため、依頼につながる割合は比較的低い傾向です。
広告配信から除外を検討したい検索キーワード
薬剤の検索キーワード 市販薬剤を検討しているユーザーを示す「アース製薬 シロアリ」のような検索は、自己処理志向が高く、業者依頼に結びつかないケースが多いです。広告費を有効活用するためには、除外候補として検討する価値があります。
十分な売上に結びつかないもの 「シロアリ お金 が ない」のように費用不足を訴えるキーワードは、成約率が低い場合が多いです。また「切り株 シロアリ」は局所駆除が中心となり、大規模な施工へ発展しにくい可能性があります。
目的が曖昧なもの 「シロアリ が 来 ない 家」は予防だけを重視しており、すぐに駆除依頼につながりにくい場合があります。緊急性が低いユーザーに無駄な広告費を割かないためにも、状況に応じて除外設定を検討しましょう。
その他の特徴ある検索キーワードカテゴリ
羽アリ関連の季節的検索 「羽蟻」や「10月 羽蟻」はシロアリとの混同を警戒するユーザーが多いキーワードです。実際に駆除依頼に結びつくかどうかは季節やタイミングに左右されるため、集中する時期の変動を念頭に置く必要があります。
防蟻対策を重視するもの 「防蟻工事」や「シロアリ防止」のような予防策に注目する検索も一定数存在します。長期的な視点で住まいを守りたいユーザーが主となるため、契約までの検討期間が長引く可能性があります。
建物全域への配慮 「シロアリ 屋根裏」は床下以外にも被害リスクを想定するユーザー層を示します。包括的な調査を希望する傾向がうかがえ、細やかな説明や追加メニューを提示することで満足度を高められるかもしれません。
7. まとめ
シロアリ対策の検索キーワード分析を通じ、以下の主要なポイントが確認されました:
- ユーザーの検索意図は4つの主要なカテゴリーに分類でき、それぞれ2つの下位層を含む
- 年間の検索数は6月にピーク(352,700回)となり、12月が最小(43,750回)を記録
- 想定クリック単価は3つの費用帯に区分され、具体的施工依頼のニーズがあるほど高単価になりやすい
- 市販薬剤関連や費用面で余裕のないキーワードは、広告配信からの除外を検討する選択肢がある
- 羽アリ関連は季節による影響が大きく、時期ごとの集中度を把握する必要がある
この分析から、季節のピークを捉えた出稿時期の検討や、想定クリック単価を踏まえた予算配分など、広告の最適化に直結する示唆が得られました。季節変動や費用帯別の傾向を踏まえたキーワード戦略によって、広告費の無駄を減らし、より効果的な集客を図ることが期待できます。