マーケティングオートメーションは手放しで自動的に売上アップが目的?

マーケティングオートメーションは例えば以下のような状況を抜本的に改善できる可能性があります。

  • セミナーや展示会集客で見込客が集まってくるけどそこから売上に至る確率が低い
  • ネット集客で見込客を数多く得ても成約に至る確率が低いと営業部から言われる
  • ネット広告で見込客を集めてステップメールを流しているけど費用対効果が落ちてきた

弊社でも上のような状況になってしまっている顧客が増えてきて、マーケティングオートメーションの導入を進めているところです。

 

マーケティングオートメーションの何がすごいのかというと、それは行動データと個人情報を紐付けして顔の見える見込客に、一人ひとり個別に働きかけができるところです。

 

個別対応が目的のマーケティングオートメーション

マーケティングオートメーションという名前からすると、自動化することに主眼が置かれそうですが、自動化という意味ではステップメールもネット広告も同じようなものです。ステップメールは一度配信がはじまったら自動でメールが送られますし、ネット広告も表示やクリックごとにお金はかかりますが、興味関心などのターゲットと広告文をセットしたら、あとは見込客向けの広告が自動でタイミングよくキーワード検索やある特定のサイト閲覧の行動データなどに応じて表示され続けます。

私はマーケティングオートメーションを使う場合、必ずしも最初から自動化する必要はないと考えています。マーケティングオートメーションがビジネスに有効なのは、個人情報と行動データを紐付けして分析ができるところだからです。まずは自社サイト上やメール配信結果からリードとなった見込客の個別の行動データを把握して、今すぐ顧客になりそうな人を見分けて電話や個別メールなどのインタラクティブな個別対応をしてみると売上がそれだけで上る可能性は十分にあります。

マーケティングオートメーションに自動化の機能があるのは、個別対応のワントゥーワンマーケティング(パーソナライズ)を実現するのが目的です。一度セットすれば何もしなくても売上が上がっていくという意味ではありません。

 

ネット広告は個人情報を活用していない

もう少し具体的にマーケティングオートメーションとネット広告を比較してみます。

ネット広告というと、あるサイトを訪れた後にそのサイトの広告が他のサイトでも表示され続けるリマーケティング広告というのを体験して知っているかたも多いと思います。そのリマーケティング広告は、あなたのブラウザのクッキー情報を元にあなたを追尾していますが、それは日本で言うところのいわゆる個人情報とは違いますし、広告の配信元と顔の見える関係ができているわけではありません。※ちなみにEU圏ではクッキー情報の収集も法律的に個人情報として扱われ、収集と活用に同意が必要となっています。

AdWordsやFacebook広告、DSP広告などのネット広告は、ある特定の個人の属性(住んでいる地域、性別、年代など)・興味関心・行動データなどを元に個人をブラウザ単位やアカウント単位でターゲティングして広告の配信先を決めていますが、それは個人を識別しているだけであって、どこどこの誰々という個人を特定して認識し、広告を配信しているわけではありません。

たとえばFacebook広告のカスタムオーディエンスの機能を使って過去の自社商品購入者のメールアドレスをFacebook広告の管理画面で登録して広告配信に活用したとしても、そのオーディエンスデータはひとまとまりのデータとして扱われます。

 

マーケティングオートメーションは個人と直接やり取りするイメージ

一方マーケティングオートメーションの場合、企業は個別の見込客について個人情報を得てマーケティングや営業に活用することの了承を得て、直接個別にやり取りができる状態を前提としています。

具体的にはセミナー開催、展示会への出展、無料PDFダウンロードなどを経て、「メール・名前・企業名・住所・・・」などのひとまとまりの個人を特定できる個人情報(いわゆるリード)の獲得と自社からの情報提供の了承を得て、どこどこの誰々という顔の見える関係で個別に働きかけをします。また、これまでに収集した自社所有の個人情報(メールアドレスだけでもOK)があれば、すぐにでもマーケティングオートメーションを活用できます。

マーケティングオートメーションでは個人情報を行動データを組み合わせて見込客の育成などのマーケティングを行います。たとえば、どこの誰が自社サイトのどのページをいつ見たかが分かりますので、その人の興味関心や自社への関心度合いに合わせた個別対応の電話やメール対応が可能になります。マルケトなど高機能なマーケティングオートメーションでは広告配信もパーソナライズすることができるものもあります。

また、個人情報として地域やその人が所属する企業の売上規模などの情報を持っていれば、それらでフィルタリングして働きかけをすることもできます。

マーケティングオートメーションはすべての見込客と、それぞれに合った個別のやり取りを少ない人員やリソースで実現していくツールと言えます。

 

マーケティングオートメーション活用の具体例

それではマーケティングオートメーションの効果的な個人情報の活用について、展示会というビジネスの具体例でわかりやすく説明したいと思います。

たとえば展示会に出店してブースで150人の見込客と名刺交換をし、情報提供の了承も取ったとします。その後、何も働きかけをしないとビジネスに結びつくのはその中からわずかの人たちとなってしまいます。しかし以下の手順を踏めば売上に結びつく確率を上げることができます。

  • 名刺交換して情報提供の了承を得た150人のデータをマーケティングオートメーションに登録
  • マーケティングオートメーションから展示会後すぐにお礼の挨拶メールをその150人に送る
  • 100人がメール開封、マーケティングオートメーションでサイト閲覧などの行動データを捕捉可能に
  • 自社サイトに訪問してくれたHOTリードを日別で識別して電話や個別のメールで働きかけをする
  • メール開封後、メール内リンクをクリックしてくれなかった人にはブログ更新時にメール送信
  • メールを開封してくれなかった50人にはハガキかDMを送ってサイト訪問を促す

このような仕組で見込客ごとの反応や興味関心の内容に合わせてフォローしていけば、まずは今HOTな見込客だけに相手の興味をある程度把握した上で営業をかけられるので売上が早々に上がる可能性を上げられますし、今はHOTでない見込客のリストも温存してゆるくフォローしていけますので長期的に見ても売上アップが期待できます。何の脈略もなく全員に電話して相手に敬遠されることもありませんし、こちらも疲れません。

ただ展示会を繰り返すだけよりも、展示会にマーケティングオートメーションを上手く組み合わせたほうが費用対効果が上がる可能性が上がります。そしてこの段階ではまだ自動化の機能を使う必要はありません。自動化は個別に働きかけをするのが現実的に無理になったときです。マーケティングオートメーションをまずは動かしてみて、見込客の一定の行動パターンとそれに対応するこちらから働きかけの効果が見えてきてからでも遅くはありません。

 

まとめ

マーケティングオートメーションの最大の武器は、顔の見える個人情報とその人それぞれの行動データを紐付けして捕捉し、マーケティングや営業に活かせるところです。

そしてマーケティングオートメーションの自動化は、きめ細かい個別対応を少ないリソースでも現実的に実行するためにあります。逆に言うと、マーケティングオートメーションの個人情報と行動データの紐付けによって個別対応のワントゥーワンマーケティングができているのであれば、無理に自動化する必要はありません。

自動化の機能は最初から必ずしも使う必要はなく、収集される見込客個別の行動データを元にそれぞれに合った働きかけをしてみて、その中で有効なパターンが見つかったら自動化していくという手順を取ってみるのがおすすめです。

マーケティングオートメーションを導入すれば、

  • HOTな見込客を識別して最初からその恩恵を受けることができ、
  • 運用の中で見込客育成の自然で有効なパターンを見つけ徐々に自動化していくことができ、
  • これまで関係を捨ててしまっていた“今はHOTではない”見込客との良好な関係を維持することもできるので、

一挙両得以上の効果を出して売上アップに貢献できるのです。

マーケティングオートメーションは手放しで自動的に売上アップすることが目的ではなく、行動データを元にした見込客へのきめ細かい個別対応が目的です。それを実現するために必要があれば自動化すると考えると、マーケティングオートメーションの導入もスムーズに行って、結果的に自動化され、売上アップの効果も出やすくなるはずです。
 
 

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